「ひいふうみい……数えるまでもなく、勝負 は私の勝ちですねぇ」  勝ち取った点棒をじゃらじゃら鳴らして、 澄美は得意げに俺を見た。  返す言葉もなく、俺は唇を噛む。  これで、麻美を取り戻せなくなったのだ。 「そんなに悲壮な顔しないでくださいよ」 あまりに辛そうな俺を見かねたのか。  澄美は慰めるように言った。 「この塔は、お客様が思っているほどひどい 場所じゃないんです。外の世界よりもずっと 幸せに暮らしてる人もいるんですから……」  彼女のいたわりはうれしかったが、俺は素 直にそれを受け取ることはできなかった。 (あの女の愛人になることが、麻美にとって の幸せになるはずがないだろう!!)  けれども、俺にそれを防ぐ手だてはない。  無言のまま俺は椅子を立つと、塔の出口へ と歩き始めた。どうしようも、なかった。              <GAME OVER>